動物病院で血液検査を受けた後、結果の用紙を渡されても、「数値が多すぎて何を見ればいいのかわからない」「基準値から外れているけど、これは大丈夫なの?」と不安になる飼い主様が多くいらっしゃいます。
45年の獣医臨床経験をもとに、血液検査結果の見方と、気をつけるべきポイントをわかりやすく解説します。
血液検査でわかること
血液検査は、ペットの体の中で何が起きているかを知るための重要な検査です。
主に2つの検査があります:
血球計算(CBC)
赤血球、白血球、血小板の数を調べます。
→ 貧血、感染症、炎症、出血傾向などがわかります
生化学検査
肝臓、腎臓、血糖値などの臓器機能を調べます。
→ 内臓の健康状態がわかります
よく見る検査項目と意味
肝臓の指標
ALT(GPT)
肝臓の細胞が壊れると上がります。
- 高い → 肝炎、肝臓病の可能性
ALP
胆汁の流れや骨の状態を反映します。
- 高い → 胆嚢疾患、クッシング症候群、成長期の若い動物では正常でも高い
T-Bil(総ビリルビン)
- 高い → 肝臓病、胆嚢疾患、溶血性貧血
腎臓の指標
BUN(尿素窒素)
腎臓の排泄機能を反映します。
- 高い → 腎臓病、脱水、消化管出血
Cre(クレアチニン)
腎臓の濾過機能を反映します。
- 高い → 腎臓病(BUNより正確)
重要なポイント:
腎臓の機能が75%以上失われないと、これらの数値は上がりません。
つまり、数値が上がった時点で、かなり進行している可能性があります。
血糖値
Glu(グルコース)
- 高い → 糖尿病、ストレス、クッシング症候群
- 低い → インスリノーマ、肝臓病、敗血症
電解質
Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Cl(クロール)
体の水分バランスを反映します。
- 異常値 → 脱水、腎臓病、アジソン病など
タンパク質
TP(総タンパク)、Alb(アルブミン)
- 低い → 栄養不良、肝臓病、腎臓病、消化器疾患
- 高い → 脱水、慢性炎症
「基準値内だから安心」ではない理由
多くの飼い主様が誤解されているポイントです。
基準値ギリギリは要注意
例えば、腎臓の数値(Cre)が基準値上限ギリギリの場合:
- 「基準値内だから問題なし」ではありません
- すでに腎機能の75%が失われている可能性があります
- 半年後には基準値を超えて「腎臓病」と診断されるかもしれません
数値の変化を見る
1回の検査だけでなく、過去との比較が重要です。
例:
- 1年前:Cre 1.0(基準値内)
- 今回:Cre 1.5(基準値内だがギリギリ)
→ この変化は要注意のサインです
複数の項目を総合的に見る
1つの数値だけでなく、複数の項目を組み合わせて判断することが重要です。
例:腎臓病の場合
- BUN ↑
- Cre ↑
- 尿比重 ↓
- リン ↑
→ これらが揃うと、腎臓病の可能性が高まります
年齢による「正常値」の違い
若い動物
成長期の子犬・子猫は、成犬・成猫と異なる値を示すことがあります。
ALPが高い
→ 成長期は骨が活発に成長するため、高くても正常なことが多い
高齢動物
加齢による変化を考慮する必要があります。
基準値内でも要注意:
- 10歳のCre 1.5は、若い時の2.0と同じくらい注意が必要な場合も
- 加齢による筋肉量の減少で、数値が低く出やすい
こんな時は獣医師に詳しく聞きましょう
1. 基準値から外れている項目がある
「様子を見ましょう」と言われても:
- なぜ高い/低いのか
- どのくらい心配すべきか
- 次回いつ再検査するべきか
を確認しましょう。
2. 基準値ギリギリの項目がある
- 今後どう推移する可能性があるか
- 生活で気をつけることは何か
3. 前回と比べて変化がある
- その変化は正常範囲か
- 病気の初期サインではないか
4. 複数の項目が微妙な値を示している
単独では問題なくても、複数の項目を総合すると病気が見えることがあります。
セカンドオピニオンという選択肢
「説明を受けたけど、よくわからなかった」
「本当にこの診断で合っているのか不安」
「別の視点からの意見も聞いてみたい」
そんな時は、セカンドオピニオンを求めることも大切です。
セカンドオピニオンが役立つケース
- 重大な病気の診断を受けた時
- 高額な治療を勧められた時
- 治療を始めたが、なかなか良くならない時
- 検査結果の説明に納得できない時
まとめ
血液検査の結果を正しく理解することは、愛犬・愛猫の健康を守る第一歩です。
大切なポイント:
- 基準値内でも安心せず、ギリギリの値は要注意
- 1回だけでなく、過去との変化を見る
- 複数の項目を総合的に判断する
- わからないことは遠慮なく質問する
- 必要ならセカンドオピニオンを
ヒロ小動物研究所のサポート
当所では、血液検査結果に関するご相談を承っております。
こんなご相談が可能です:
- 血液検査結果の詳しい説明
- 基準値ギリギリの数値の解釈
- 今後の経過観察のポイント
- セカンドオピニオンとしての見解
- 食事や生活で気をつけるべきこと
Zoomでのオンライン相談(30分 5,000円)
全国どこからでもご相談いただけます。
検査結果の用紙をお持ちの上、お気軽にご連絡ください。
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