動物病院のスタッフ採用・育成のコツ【離職率を下げる秘訣】

動物病院経営

「良いスタッフが採用できない」「せっかく採用しても辞めてしまう」—動物病院の経営相談で最も多く聞かれる悩みです。

全国8都市以上での病院立ち上げと経営に携わり、数十名のスタッフ採用・育成を経験してきた立場から、動物病院のスタッフマネジメントの実践的なノウハウをお伝えします。

動物病院のスタッフ問題の実態

深刻な人手不足

動物看護師の有効求人倍率:約3倍

1人の求職者に対して3つの求人がある状態です。
つまり、病院側が「選ぶ」のではなく、求職者側が「選ぶ」時代になっています。

高い離職率

動物病院業界の離職率は年間20〜30%と言われています。

よくある離職理由:

  • 人間関係の問題
  • 給与への不満
  • 長時間労働・休日の少なさ
  • キャリアアップが見えない
  • 院長との価値観の相違

採用で失敗しないための5つのポイント

1. 求める人物像を明確にする

「優秀な人」「やる気のある人」では曖昧すぎます。

明確にすべきこと:

スキルより重視すべき要素:

  • 人柄・性格(動物と飼い主様への思いやり)
  • コミュニケーション能力
  • 学ぶ姿勢
  • チームワーク

経験・スキル:

  • 経験者が良いか、未経験者を育てるか
  • 専門分野(手術助手、受付対応など)

私の経験から:
経験豊富でも「人柄」に問題がある人は、チーム全体に悪影響を及ぼします。
未経験でも「素直で学ぶ意欲がある人」の方が、長期的に戦力になります。

2. 求人票の書き方で差がつく

NG な求人票:

これでは他の病院との違いが分かりません。

良い求人票:

病院の理念・ビジョンを明記
「当院は予防医療に力を入れ、ペットと飼い主様の幸せな生活をサポートします」

具体的な仕事内容

  • 診察補助
  • 受付・会計
  • 入院動物の看護
  • 手術助手

成長できる環境をアピール

  • 外部セミナー参加費補助
  • 資格取得支援
  • 院内勉強会の実施

働きやすさを具体的に

  • 週休2日制(日曜+平日1日)
  • 残業月平均○時間
  • 有給取得率○%
  • 産休・育休実績あり

給与の透明性

  • 初年度:月給18万円〜22万円
  • 2年目以降:経験・スキルに応じて昇給
  • 賞与:年2回(実績○ヶ月分)

3. 採用チャネルの使い分け

効果的な採用チャネル:

Indeed、求人ボックスなどの求人サイト

  • 無料掲載も可能
  • 応募数を増やせる

動物看護師専門の求人サイト

  • ターゲットを絞れる
  • 質の高い応募が期待できる

Instagram、X(Twitter)

  • 病院の雰囲気が伝わる
  • 若い世代にアプローチできる

専門学校との連携

  • 新卒採用に有効
  • インターンシップ受け入れ

既存スタッフからの紹介

  • 最も定着率が高い
  • 紹介制度の導入(紹介手当など)

私の成功事例:
大阪で立ち上げた病院では、Instagramで「スタッフの日常」を定期的に発信。
病院の雰囲気が伝わり、「ここで働きたい」という応募が増えました。

4. 面接で本当の姿を見抜く

面接で確認すべきこと:

志望動機の深掘り

  • 「なぜ動物看護師になりたいのか」
  • 「なぜ当院を選んだのか」
  • 表面的な回答ではなく、本音を引き出す

過去の経験から人柄を見る

  • 「困難な状況をどう乗り越えたか」
  • 「チームで働いた経験」
  • 「失敗から学んだこと」

価値観の確認

  • 「理想の動物病院とは」
  • 「飼い主様への対応で大切にしたいこと」
  • 院長の理念と合っているか

逆質問の内容を重視

  • 給与・休日ばかり聞く → 条件重視
  • 成長機会や業務内容を聞く → 仕事への意欲

私のアドバイス:
面接は「選ぶ」だけでなく「選ばれる」場でもあります。
病院の理念、働く環境、成長機会をしっかり伝えましょう。

5. 試用期間を有効活用

試用期間(通常1〜3ヶ月)でチェックすべきこと:

  • 業務への取り組み姿勢
  • コミュニケーション能力
  • チームへの適応力
  • 時間管理・責任感

重要:
試用期間中でも、フィードバックは定期的に行いましょう。
「ダメだったら辞めてもらう」ではなく、「育てる」姿勢が大切です。


育成で離職を防ぐ7つの方法

1. 明確な教育プログラム

新人スタッフの不安:
「何をどこまで覚えればいいのか分からない」

解決策:育成チェックリストの作成

1ヶ月目:

  • 受付業務の基本
  • 診察補助の基礎
  • 院内のルール理解

3ヶ月目:

  • 一人で受付対応
  • 基本的な診察補助
  • 入院動物のケア

6ヶ月目:

  • 手術助手
  • 緊急時の対応
  • 飼い主様への説明サポート

私の経験:
チェックリストがあると、新人スタッフは安心して成長でき、教える側も指導漏れがなくなります。

2. OJT担当者(メンター)の設置

新人一人に対して、先輩スタッフ一人を「メンター」として配置。

メンターの役割:

  • 業務指導
  • 悩み相談
  • 定期的な面談

注意点:
メンター自身が負担を感じないよう、院長がフォローすることが重要です。

3. 定期的な1on1ミーティング

月1回、院長とスタッフの1on1面談

話す内容:

  • 今月の振り返り
  • 困っていること・悩み
  • 来月の目標設定
  • キャリアの希望

重要:
一方的に話すのではなく、「聴く」ことを重視。
小さな不満のうちに解決することで、離職を防げます。

4. 明確なキャリアパス

「この病院で働き続けても成長できない」と感じたら辞めます。

キャリアパスの例:

入社1年目:基礎習得

  • 月給18万円〜

2〜3年目:独り立ち

  • 月給20万円〜22万円
  • 専門分野を持つ(手術、受付リーダーなど)

4〜5年目:チーフ動物看護師

  • 月給24万円〜26万円
  • 新人教育担当
  • シフト管理

6年目以降:動物看護師長

  • 月給28万円〜
  • 病院運営への参画
  • 経営視点を持つ

このように、「○年後にどうなれるか」が見えると、モチベーションが上がります。

5. 適切な評価と昇給

よくある失敗:
「頑張っているのは分かっているけど、昇給は厳しい」

→ これではスタッフは報われません。

評価基準を明確に:

  • 技術スキル
  • コミュニケーション能力
  • 責任感・積極性
  • チームへの貢献

年1回の評価面談で、評価結果と昇給額を明確に伝えましょう。

私のアドバイス:
給与は「出せる範囲で精一杯」を示すことが大切です。
「この病院は自分を評価してくれる」と感じれば、長く働いてくれます。

6. 働きやすい環境づくり

離職理由の上位:労働環境

改善すべきポイント:

休日の確保

  • 週休2日制(最低でも月6〜8日)
  • 有給休暇の取得推奨

残業の削減

  • 業務の効率化
  • シフトの見直し
  • 無駄な会議の削減

産休・育休の取得実績

  • 結婚・出産後も働き続けられる環境

院内の雰囲気

  • 挨拶・感謝の言葉
  • お互いをサポートする文化

7. 成長機会の提供

外部セミナー・学会参加の支援

  • 参加費の全額または一部補助
  • 勤務時間内の参加を認める

院内勉強会の開催

  • 月1回、症例検討会
  • 新しい知識・技術の共有

資格取得支援

  • 認定動物看護師の資格取得
  • 受験費用の補助

スタッフの声:
「この病院は成長させてくれる」と感じると、定着率が上がります。


離職を防ぐコミュニケーション

日常の声かけ

「ありがとう」を伝える
小さなことでも感謝の言葉を忘れずに。

「お疲れ様」の一言
忙しい日の終わりに、ねぎらいの言葉を。

「どう?大丈夫?」
困っていそうなスタッフには、声をかけてサポート。

チームビルディング

月1回のスタッフミーティング

  • 業務改善の提案
  • 情報共有
  • 全員が発言できる場

定期的な食事会・懇親会

  • 年2〜4回
  • 仕事以外の話もできる機会

誕生日のお祝い

  • 小さなケーキやプレゼント
  • スタッフを大切にする姿勢を示す

よくある失敗パターン

1. 「即戦力」ばかりを求める

経験者は確かに助かりますが、前の病院のやり方に固執したり、給与が高くなりがちです。
未経験者を育てる方が、長期的には戦力になります。

2. 採用を急ぎすぎる

人手不足で焦って採用すると、ミスマッチが起こります。
「ちょっと違うかも」と思ったら、無理に採用しない勇気も必要です。

3. 育成を現場任せにする

「先輩が教えてくれるから」と院長が無関心だと、教育の質にばらつきが出ます。
院長自身が育成に関わる姿勢を示しましょう。

4. 不満を放置する

小さな不満も積み重なると、ある日突然「辞めます」になります。
定期的に話を聞く機会を作りましょう。


スタッフが辞める前兆サイン

これらのサインに気づいたら要注意:

  • 表情が暗くなる
  • 業務への積極性が低下
  • 遅刻・欠勤が増える
  • 飲み会・イベントを断るようになる
  • 他のスタッフとの会話が減る

早めに個別面談を実施し、悩みを聞き出しましょう。


ヒロ小動物研究所のスタッフマネジメント支援

当所では、動物病院のスタッフ採用・育成をサポートしています。

支援内容:

採用支援

  • 求人票の作成アドバイス
  • 面接の進め方指導
  • 採用基準の策定
  • 雇用契約書のチェック

育成体制構築

  • 教育プログラムの作成
  • 評価制度の設計
  • キャリアパスの設定
  • 給与体系の見直し

トラブル対応

  • スタッフ間の人間関係調整
  • 離職の兆候への対応
  • 退職防止の施策

料金:

初回相談(60分):10,000円
現状をお伺いし、改善策をアドバイスします

継続コンサルティング:月額50,000円〜
定期的なサポートで、スタッフマネジメントを改善

スポット相談:15,000円/60分
特定の問題について集中アドバイス

Zoomでのオンライン相談で、全国対応可能です。


まとめ

スタッフは病院の最も重要な資産です。

採用成功の5つのポイント:

  1. 求める人物像を明確に
  2. 魅力的な求人票
  3. 多様な採用チャネル
  4. 本質を見抜く面接
  5. 試用期間の有効活用

育成・定着の7つの方法:

  1. 明確な教育プログラム
  2. メンター制度
  3. 定期的な1on1
  4. キャリアパス提示
  5. 適切な評価・昇給
  6. 働きやすい環境
  7. 成長機会の提供

「良い病院」とは、「良いスタッフが長く働いてくれる病院」です。
スタッフを大切にすることが、病院の成長につながります。

スタッフ採用・育成でお悩みの先生、
まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせは、当サイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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